サービス提供責任者の採用|配置基準と資格要件から考える募集の書き方
サービス提供責任者は、利用者40人ごとに1人以上、常勤の訪問介護員等から置くのが基準です。資格は介護福祉士・実務者研修修了者などで、初任者研修修了者は2018年度から対象外です。人数の計算と求人票の書き方をまとめます。
この記事の内容
訪問介護のサービス提供責任者(サ責)は、常勤の訪問介護員等の中から、利用者 40 人またはその端数ごとに 1 人以上 を置くのが基準です(指定居宅サービス等の人員・運営基準 第5条)。資格は 介護福祉士、実務者研修の修了者、旧介護職員基礎研修の修了者、旧ホームヘルパー 1 級課程の修了者 で、初任者研修と旧 2 級課程の修了者は 2018年度の改定で要件から外れました。
サ責が基準の人数に足りなくなると、事業所の指定の基準を満たせなくなります。この記事では、必要な人数の計算、資格の要件、サ責の業務、求人票の書き方をまとめます。
配置基準:何人必要か
基本の考え方
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 人数 | 利用者 40 人またはその端数ごとに 1 人以上 |
| 誰から選ぶか | 常勤の訪問介護員等 |
| 利用者の数 | 前 3 か月の平均(新しく指定を受ける場合は推定数) |
| 常勤換算 | 利用者の数に応じて常勤換算で数えることもできる |
| 専従 | 原則として専らサ責の職務に従事(管理者との兼務などは可) |
利用者の数は、暦月ごとの実際の利用者の数を 3 か月分足して 3 で割った値です。通院等乗降介助だけを利用した人は、その月は 0.1 人と数えます。人数は毎月の利用者の数で変わるので、東京都の資料は、毎月の利用者の数・3 か月の平均・必要なサ責の数を記録して保存するよう求めています。
常勤換算で数える場合
常勤換算で数える場合は、利用者の数を 40 で割り、小数点第 1 位に切り上げた数 が必要な数です。ただし、常勤のサ責の人数には下限があり、利用者が 40 人を超え 200 人以下なら「常勤換算しない場合の人数 − 1」以上、200 人を超えるなら「常勤換算しない場合の人数 × 2 ÷ 3」を切り上げた数以上の常勤のサ責が必要です。
また、非常勤のサ責は、常勤の職員の勤務時間の 2 分の 1 以上を働く人である必要があります。
計算の例
| 前 3 か月の平均の利用者数 | 常勤換算しない場合 | 常勤換算の場合(必要な数) | うち常勤の下限 |
|---|---|---|---|
| 35 人 | 1 人 | ― | 1 人 |
| 52.4 人 | 2 人 | 1.4 | 1 人 |
| 90 人 | 3 人 | 2.3 | 2 人 |
| 130 人 | 4 人 | 3.3 | 3 人 |
利用者 52.4 人の例では、常勤換算で 1.4 以上が必要です。非常勤のサ責は常勤の 2 分の 1 以上働く必要があるので、実際には「常勤 1 人+常勤の半分以上働く非常勤 1 人」(1.5)の配置になります。
50 人ごとに 1 人にできる場合
次の 3 つを全て満たす事業所は、利用者 50 人ごとに 1 人の配置にできます(同基準第5条第5項)。
- 常勤のサ責を 3 人以上置いている
- サ責の業務に主として従事する人を 1 人以上置いている(東京都の資料では、自分で訪問したサービス提供の時間が月 30 時間以内の人)
- ソフトウェアの活用などで、サ責の業務が効率的に行われている
利用者が 120 人を超えるような規模の事業所では、この緩和を使うかどうかで必要な人数が変わります。
資格の要件
| 資格 | サ責になれるか |
|---|---|
| 介護福祉士 | なれる |
| 実務者研修の修了者 | なれる |
| 旧介護職員基礎研修の修了者 | なれる |
| 旧ホームヘルパー 1 級課程の修了者 | なれる |
| 介護職員初任者研修の修了者 | なれない(2018年度から) |
| 旧ホームヘルパー 2 級課程の修了者 | なれない(2018年度から) |
2018年度(平成30年度)の介護報酬改定で、初任者研修と旧 2 級課程の修了者は任用の要件から外れました。すでに従事していた人には 1 年間の経過措置があり、それに合わせた減算も 2019年度以降は廃止されています。いまサ責として採用するには、上の 4 つのいずれかが必要です。
介護福祉士の受験を目指している人を採用する場合、実務者研修を修了していればサ責になれます。「実務者研修修了者も可」と書いておくと、介護福祉士の資格がまだ無い人も応募の対象に入ります。
サ責の業務
求人票の「業務の内容」を具体的に書くために、基準が定めるサ責の主な業務を整理します(同基準第24条・第28条など)。
| 業務 | 内容 |
|---|---|
| 訪問介護計画の作成 | 利用者の状態を踏まえて計画を作り、利用者に説明して同意を得る |
| 利用の申込みの調整 | 新しい利用者の受け入れ、サービスの時間や回数の調整 |
| 利用者の状態の把握 | 定期的な訪問やモニタリング |
| ケアマネジャーとの連携 | サービス担当者会議への出席、口腔や服薬の状況などの気づきの共有 |
| ヘルパーへの指示と管理 | 具体的な援助の目標と内容の指示、勤務の調整、研修・技術指導 |
2018年度の改定では、訪問介護の現場で気づいた利用者の口腔の問題や服薬の状況などを、ケアマネジャーなどに伝えることがサ責の責務として明確になりました。また、実際のサービスの時間が計画の標準の時間と大きく離れている場合は、ケアマネジャーに連絡することも明確にされています。
求人票の書き方
業務の内容と変更の範囲
サ責の求人では、「訪問介護のサービス提供責任者」とだけ書かず、計画の作成・調整・ヘルパーの管理と、自分で訪問する時間の目安を書きます。
| 項目 | 書き方の例 |
|---|---|
| 業務の内容(雇入れ直後) | 訪問介護のサービス提供責任者(訪問介護計画の作成、利用者・ケアマネジャーとの調整、ヘルパーの指示・勤務調整・研修)。自身の訪問は月 40 時間程度 |
| 業務の内容(変更の範囲) | 法人が運営する居宅サービスの業務 |
| 必要な資格 | 介護福祉士・実務者研修修了者・旧介護職員基礎研修修了者・旧ホームヘルパー 1 級課程修了者のいずれか |
| 雇用形態 | 正職員(常勤) |
常勤か非常勤か
基準では、サ責は常勤の訪問介護員等から選ぶのが原則で、常勤換算で数える場合も常勤の下限があります。非常勤で募集する場合は、常勤の勤務時間の 2 分の 1 以上働けることが条件になるので、求人票に週の勤務時間の下限を書きます。
自分で訪問する時間
サ責は、サ責の業務のほかにヘルパーとして訪問することも多い職種です。訪問の時間が多いと、計画の作成や調整の業務が時間外にずれこみがちです。自分で訪問する時間の目安と、残業の実績を書いておくと、入職後のずれが少なくなります。50 人ごとの配置の緩和を使う事業所では、「主として従事する人」は訪問が月 30 時間以内とされているので、その役割を担う人の募集であれば、そのことも書きます。
賃金と手当
サ責に役職手当や資格手当を払っている場合は、額と払う条件を書きます。処遇改善の手当を含める場合の書き方は 処遇改善加算は求人票にどう書くか を参照してください。訪問の時間に応じた賃金がある場合は、移動や記録の時間の扱いも示します(訪問介護の移動時間と賃金)。
採用の計画
サ責の人数は利用者の数で決まるため、利用者が増えてから募集を始めると、基準に足りない月が出ることがあります。利用者の数の推移から、40 人の区切りを超える時期を見込んで、先に募集を始めます。常勤のヘルパーのうち、実務者研修を修了した人や介護福祉士の人をサ責に登用する道もあります。ヘルパーの募集の組み方は 訪問介護ヘルパーの採用 をご覧ください。
よくある質問
Q. 初任者研修の修了者をサ責として採用できますか。 できません。2018年度の改定で、初任者研修と旧 2 級課程の修了者はサ責の任用要件から外れ、経過措置も終わっています。実務者研修を修了すればサ責の要件を満たします。
Q. 管理者がサ責を兼ねてもよいですか。 サ責は原則として専らその職務に従事しますが、管理者との兼務は認められています。兼務するときの勤務時間の数え方など細かな扱いは、事業所を指定する都道府県・市町村の資料で確かめてください。
Q. 利用者が 40 人をわずかに超えたら、すぐに 2 人目が必要ですか。 利用者の数は前 3 か月の平均で数えるので、1 か月だけ超えてもすぐに必要になるとは限りません。ただし、平均が 40 人を超えれば 2 人(常勤換算なら 40 で割って切り上げた数)が必要です。毎月の利用者の数を記録し、区切りを超える前に採用を進めてください。
出典・参考にした一次資料
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