夜勤専従の募集|16時間夜勤の労働時間・休憩・深夜割増と求人票の書き方
1回16時間の夜勤専従は1日8時間を超えるため、1か月単位の変形労働時間制などの定めが前提です。休憩は1時間以上で自由に使えること、午後10時〜午前5時は25%以上の深夜割増が要ることを押さえ、月の上限回数と賃金の内訳を求人票に書きます。
この記事の内容
介護施設の夜勤専従の募集では、1 回の勤務が 8 時間を超える「16 時間夜勤」を組むなら、1 か月単位の変形労働時間制などの定めが前提 になります。休憩は 8 時間を超える勤務なら 1 時間以上で、自由に使える時間でなければなりません。午後 10 時から午前 5 時までの労働には 25% 以上の深夜割増 がかかります。
求人票には、勤務の時刻と休憩、月の夜勤の回数の目安、1 回あたりの賃金の内訳(基本の賃金・深夜割増・夜勤手当)を分けて書きます。この記事では、夜勤専従を組むときの労働基準法の決まりと、求人票の書き方をまとめます。
夜勤専従の勤務の形
介護施設の夜勤は、おおむね次の 2 つの形に分かれます。
| 形 | 勤務の例 | 1 回の実働 |
|---|---|---|
| 2 交代(長時間夜勤) | 16:00〜翌 10:00(休憩 2 時間) | 16 時間 |
| 3 交代(短時間夜勤) | 22:00〜翌 7:00(休憩 1 時間) | 8 時間 |
労働基準法は、1 日 8 時間・1 週 40 時間を法定の労働時間としています(第32条)。2 交代の 16 時間夜勤は、1 回で 1 日 8 時間を超えるので、そのままでは 8 時間を超えた分が時間外労働になります。16 時間夜勤を所定の勤務として組むには、次の変形労働時間制を使うのが一般的です。
1 か月単位の変形労働時間制
しくみ
1 か月単位の変形労働時間制(労働基準法第32条の2)は、1 か月以内の期間を平均して 1 週の労働時間が法定の時間を超えない範囲で、特定の日に 8 時間を超えて働かせることができる制度です。労使協定、または就業規則その他これに準ずるもので定めます(労使協定で定めた場合は労働基準監督署に届け出ます)。変形の期間の各日・各週の労働時間は、勤務表などで前もって決めておく必要があります。
月の労働時間の上限と夜勤の回数
変形の期間を 1 か月とした場合、所定労働時間の合計の上限は 40 時間 × その月の暦日数 ÷ 7 です。
| 月の暦日数 | 上限(週 40 時間) | 16 時間夜勤の回数の上限の目安 |
|---|---|---|
| 31 日 | 177.1 時間 | 11 回(176 時間) |
| 30 日 | 171.4 時間 | 10 回(160 時間) |
| 29 日 | 165.7 時間 | 10 回(160 時間) |
| 28 日 | 160.0 時間 | 10 回(160 時間) |
夜勤専従だけで働く人の場合、実働 16 時間の夜勤は月 10〜11 回が所定の勤務の上限の目安になります。これを超える回数を組むと、その分は時間外労働になり、割増賃金が要ります。
保健衛生の事業(介護施設を含む)で常時 10 人未満の労働者を使う事業場は、週 44 時間の特例があります(労働基準法施行規則第25条の2)。この場合の上限は 44 時間 × 暦日数 ÷ 7 です。
時間外労働になる場合
変形労働時間制でも、勤務表で決めた時間を超えて働いた分や、変形の期間の上限を超えた分は時間外労働です。時間外労働には 25% 以上、月 60 時間を超える分には 50% 以上の割増賃金が要ります(第37条)。夜勤明けの申し送りが延びた時間も、労働時間として把握します。
休憩と仮眠
休憩の長さ
休憩は、労働時間が 6 時間を超えるなら 45 分以上、8 時間を超えるなら 1 時間以上を、勤務の途中に与えます(第34条)。16 時間夜勤では法律上の最低は 1 時間ですが、長い勤務になるため、それより長い休憩を設ける例もあります。休憩の長さと時間帯は、勤務表と求人票の両方に書きます。
休憩は自由に使える時間
休憩は、労働者が自由に使える時間でなければなりません。夜勤中の「仮眠」や「休憩」の時間でも、次のような場合は休憩ではなく労働時間になります。
- ナースコールや利用者の呼び出しに対応するよう求められている
- 1 人夜勤で、休憩中も利用者の見守りを続けなければならない
- 休憩室を離れられず、呼ばれたらすぐ対応することになっている
厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」は、使用者の指示があればすぐに業務に就くことを求められ、労働から離れることが保障されていない状態で待機している時間(いわゆる手待時間)は、労働時間に当たるとしています。休憩を実際に取れるように、休憩の時間帯に代わりに対応する職員を決めておくことが前提です。
深夜割増
午後 10 時から午前 5 時までの間に働かせた場合は、通常の賃金の 25% 以上 の割増賃金を払います(第37条第4項)。時間外労働が深夜に及ぶときは、時間外の 25% と深夜の 25% を合わせて 50% 以上になります。
1 回あたりの計算の例
時給 1,300円、16:00〜翌 10:00(休憩は 1:00〜3:00 の 2 時間)の夜勤の場合です。
| 項目 | 時間 | 計算 | 額 |
|---|---|---|---|
| 基本の賃金 | 16 時間 | 1,300円 × 16 | 20,800円 |
| 深夜割増 | 5 時間(22:00〜1:00、3:00〜5:00) | 1,300円 × 25% × 5 | 1,625円 |
| 夜勤手当(事業所が独自に設ける手当の例) | ― | 1 回あたり定額 | 5,000円 |
| 合計 | 27,425円 |
休憩を深夜の時間帯に置くと、深夜割増の対象の時間はその分少なくなります。
夜勤手当と深夜割増の書き分け
「夜勤手当 1 回 10,000円」のように払う場合、その手当に深夜割増を含めるのか、別に払うのかを決めて、求人票と給与規程に書き分けます。深夜割増を夜勤手当に含める場合は、手当のうち深夜割増にあたる額が、法律で計算した額を下回らないことが必要です。含めるかどうかが書かれていないと、応募する人は深夜割増が別に出ると受け取ることがあります。
最低賃金との関係
最低賃金と比べるときは、深夜割増や時間外の割増は計算から除きます。夜勤手当で 1 回の額を大きく見せていても、基本の時給や月給を時間額に直した額が最低賃金を下回っていないかを確かめます。夜勤専従を月給で募集する場合は、最低賃金の改定に合わせた求人票の見直し の計算も使えます。
健康への配慮
深夜業を含む業務に常時従事する労働者には、配置替えのときと、6 か月以内ごとに 1 回、定期的に健康診断を行う必要があります(労働安全衛生規則第45条・第13条第1項第3号)。一般の定期健康診断が年 1 回なのに対し、夜勤専従の人は年 2 回が必要になります。
夜勤の連続の回数や、夜勤明けから次の勤務までの間隔も、健康を保つうえで大切な点です。勤務表の組み方の方針(連続は 2 回まで、など)を求人票に書いておくと、応募する人が働き方を想像しやすくなります。
求人票の書き方
| 項目 | 書き方の例 |
|---|---|
| 就業時間 | 16:00〜翌 10:00(休憩 120 分。1 か月単位の変形労働時間制) |
| 夜勤の回数 | 月 8〜10 回(希望により調整。月の所定労働時間の範囲内) |
| 賃金 | 1 回あたり 27,425円(基本 20,800円+深夜割増 1,625円+夜勤手当 5,000円) |
| 時間外 | あり(申し送りなど。月平均 3 時間) |
| 休憩 | 休憩中は別の職員が対応する体制あり |
| 健康診断 | 年 2 回(6 か月ごと) |
| 雇用形態 | パート(夜勤専従)/正職員(夜勤専従) |
夜勤専従を月給制の正職員で募集する場合も、月の夜勤の回数と 1 回あたりの勤務の時刻を書き、月給の中の基本給・夜勤手当・深夜割増の内訳を示します。求人票の必須項目は 介護の求人票の書き方と必須項目 をご覧ください。
「1 人夜勤」かどうか
夜勤の職員が 1 人か複数かは、夜勤専従を考える人がよく確かめる点です。フロアごとの夜勤の人数、急変時の連絡の体制(看護職員へのオンコールなど)を書いておくと、入職後のずれが少なくなります。
よくある質問
Q. 16 時間夜勤を組むには、必ず変形労働時間制が必要ですか。 1 日 8 時間を超える勤務を所定の時間として組むには、1 か月単位の変形労働時間制などの定めが必要です。定めが無い場合は、8 時間を超えた分が時間外労働になり、時間外労働の協定(36 協定)と割増賃金が必要になります。
Q. 夜勤中の仮眠の時間に賃金を払わなくてもよいですか。 呼び出しにすぐ応じることを求められていない、本当に自由に使える時間であれば休憩として扱えます。ナースコールへの対応を求めている場合などは手待時間として労働時間に当たり、賃金の対象になります。個別の判断は、事業所を受け持つ労働基準監督署に相談できます。
Q. 夜勤専従の人の健康診断は年 1 回でよいですか。 深夜業を含む業務に常時従事する人は、6 か月以内ごとに 1 回の定期健康診断が必要です。夜勤専従の人は年 2 回になります。
出典・参考にした一次資料
Findcare求人は、医療・介護・福祉の事業所の求人を載せる求人サイトです。求人の掲載と応募の管理は無料です(期限はありません)。料金は、Findcare求人を通じて応募のあった方の採用が決まったときだけ発生します(料金について)。
事業所の求人を出す(無料)この記事は、公的な資料をもとにした一般的な解説です。制度・金額・日程は改定されることがあります。実際の手続きや個別の事情については、記事の出典の実施機関や、お住まいの都道府県・市区町村、ハローワーク、労働基準監督署などの窓口でお確かめください。